公開: 2024年1月26日
更新: 2024年1月26日
縄文文化を特徴づけているものに、その時代に製作された土器があります。特に、縄文土器と呼ばれているものです。初期の縄文土器は、つぼ型のもので、その土の表面に綱などを押し付けて、模様をつけたと考えられる、簡単なものです。しかし、縄文中期になると、つぼの表面を複雑な文様で飾り付けた、火炎式土器が現れました。つぼの表面につけられた文様が、まるで炎が立ち上がっているかのように見えるからです。これらは、水などを入れるためのつぼのようですが、その機能よりも、表面の文様に意味があるように見えます。
火炎式土器が出土するようになると、多くの遺跡で、人形の土器も製作されるようになります。土器には、人間の顔、手足、胴体があり、人間の見た目に似た形状が特徴になっています。ただ、人間を写実的な描写したのではなく、人間をモデルにして、宗教的な儀式に利用したと考えられる、実用性の低い土器です。この頃から、私たちの祖先は、人の死や誕生を強く意識し、「神」のような存在を考えるようになったと思われます。土偶は、そのような神秘性に対する恐れなどに対する人間の感情を表現し、それを他の人々と共有する目的で作られたと思われます。